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小高一味

南相馬市小高区 小高工房

小高一味

南相馬市小高区 小高工房

相馬市小高で栽培した唐辛子を100%使用。木成りで真っ赤になるまで完熟させ、いちばん良い状態のものだけをひとつひとつ手摘みで収穫しています。収穫後は天日干しを行い、その後何度も丁寧に火入れをして作り上げていきます。皮と種ごと粉砕した一味唐辛子は、辛さの中にも香り豊かな風味を感じられます。

内容量:10g
販売価格(税込):648円
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小高工房さんのご紹介

たった15本のプランターから始まった小高一味

南相馬市小高にある小高工房のコミュニティスペース。私たちが取材に訪れた2月上旬には、商品を買い求める地元の人たちの笑顔と試作中だという新商品の香ばしい香りに包まれていました。現在の活気あふれる光景からは想像がつきにくいかもしれませんが、元々唐辛子はこの地域で盛んに作られていたわけではないと代表の廣畑裕子さんは言います。
「震災前は家庭菜園で育てていた人がいたくらい。震災・原発事故の影響で避難していた間に他の農作物は全部イノシシに食われちゃったんだけど、唐辛子だけが無事だったんだ。小高に戻って来られてからも20キロ圏内の農産物は出荷もできなかったから…。唯一唐辛子を一味に加工したものだったら作れるんじゃないかって、たった15本のプランターから作り始めることにしたんだよね」。

小高工房の廣畑裕子さん。

唐辛子を作らなくなるのが嬉しい理由

「小高一味」が初めて販売されたのは、2016年の町の復興祭の時でした。
「一味なんて多くても年に1、2本しか買わないと思うんだけど、『小高の名前が入ってっから』『友達や親せきに配るんだ』って次々に買ってくれたんだ」と廣畑さん。
用意した200本は初日だけで完売。復興の象徴として小高の人たちを元気づけました。次の年には地元の農家や役所の庭など64軒が唐辛子づくりに手を挙げ、小高での唐辛子づくりは広がっていくことに。ところが、その翌年には半分以上がやめてしまったといいます。ただし、その理由は廣畑さんを喜ばせるものでした。
「元々やってたブロッコリーやキュウリを作るからって言うんだよ。数年前はとにかく作れることを喜んでた人たちが、本来作っていたものに戻れたのがめっちゃ嬉しかったよね」。

小高工房で販売をしている「小高一味」。黄色いキャップは大辛。辛党にはたまらない!

一枚一枚スタンプを押して仕上げた小高工房の紙袋。

被災地仕様ではなく美味しいものを

震災・原発事故を乗り越えた唐辛子から生まれた「小高一味」ですが、廣畑さんは復興の切り口として取り上げられたくないと話します。

「支援がないとここで生きていけないと思われるのは悔しいじゃない。小高一味は商品なんだから売れなきゃ意味がないし、お客様は被災地仕様じゃなくて美味しいものを買っていくから。だからこそ商品自体に魅力がないとダメ!」。

味にも品質にも徹底的にこだわり、種と皮、胎座(種がついているワタの部分)を全部手作業で細かく分けているのだとか。こうすることで辛さの中にも豊かな風味が感じられる、唯一無二の「小高一味」に仕上げています。

目の前のことをひとつひとつ大事にする

最後に今後の目標を聞いてみるとこんな答えが返ってきました。
「小高一味を作り始めた時、93歳のおばあさんに『来年もつくるんだからおめえ絶対売ってこいよ!』って言われたことがあるの。『売れなきゃ来年に回せばいい』なんて思ってたけど、そうはいかない。本当に責任重大だよね。今後は小高の唐辛子を使った新しい商品も考えてるよ。地元×地元のような商品を作りたいよね」。
コロナ禍で再び困難に直面している中にあっても目の前のことをひとつひとつ大事にしたいという廣畑さんの言葉は、とても前向きで力強いものでした。冒頭で紹介した新商品がどんな形になるのかも楽しみに待ちたいと思います。

この日、「感じたままに文章を書けばいいよ。」と取材班に伝えてくださったことがとても印象的でした。

小高工房

コワーキングスペース「小高工房」は、住民の憩いの場に留まらず、地域全体が元気になる様々な活動を続けています。その一つに「小高唐辛子プロジェクト」があります。趣旨に賛同していただいた方と共に、熱い想いで唐辛子を栽培、加工をしています。

〒979-2124 福島県南相馬市小高区本町1-53
http://www.odaka01.com/

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